ひとでなしの哀歌(エレジー)

 

むかしむかしのものがたり

このよのことだがこのはなし

きけどもこのよのことならず

 

あおいうみこえやってきた

ひとりのけんじゃかかいぶつか

ちえしゃをあつめてかんがえた

あつまるちえしゃもかんがえた

よきひとつくろうよきくにつくろう

よろこびたくさんたのしみたくさん

かなしみたくさんにくしみたくさん

 

ゆめはたくさんよくぼうたくさん

 

みんなのこころつめこんで

あるひうまれたひとでなし

ひとでもないしものでもない

かみでもないしむしでもない

 

これはいったいなんなのか

ひとではないからひとでなし

ひとでなしにはこころがない

こころがなくてあばれでて

みんなといっしょにきえちゃった

みんなのこころときえちゃった

 

このよのことだがこのはなし

きけどもこのよのことならず

 

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ずっとじかんはすぎてった

ふとめがさめてそこにいた

くろいおんながみつめてた

じぶんをみたらはっとした

ひとのかわをかぶってた

ひとでなしがかぶってた

 

おんながいろいろはなしてくれた

おもいでいっぱいゆめいっぱい

きづけばせわをしてくれた

にんじゃってなんだろう

はっけんしゅうってなんだろう

あたまがいたくなってきた

 

たくさんわかったことがある

でもわからないこともある

あるひおんながいったっけ

じゆうにいきろまえをむけ

そしておんなはさってった

ぼくをのこしてさってった

 

かなしくみえたぼくのかお

こころがないのにふしぎだな

でもぼくにこころはない

こころをさがすひとでなし

 

このよのことだがこのはなし

きけどもこのよのことならず

 

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いろんないのちをふみしめた

まえをむいてすすんでた

それでもかなしいこのかおが

いつでもぼくをみつめてた

 

なにかをやろうとしたけれど

だれかとはなそうとしたけれど

いつもかえりはひとりみち

みんなはわらってくれなくて

あおうとしてもくれなくて

やっぱりかえりはひとりみち

 

あたまがいたくなってきた

いろんなかおがめにうかぶ

いろんなけしきがめにうかぶ

かなしいすがたがめにうかぶ

こころがないのにかなしくて

たおったはなをにぎってた

なみだいろしたひがんばな

あけにそまったひがんばな

 

てにかけていたくろずきん

ぼくがしていたくろずきん

かなしさひろってまえをむく

ぼくはどこにいるのだろう

ひとでなしはたびにでよう

 

このよのことだがこのはなし

 

きけどもこのよのことならず